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大林宣彦さん講演会

以前に、『転校生』、『時をかける少女』、『さびしんぼう』のことを書きましたが、

本日、新潟県長岡市に来られた映画作家 大林宣彦さんの講演会に行ってきました。

思えば、26年前に『廃市』の試写会で初めてお目にかかってから、久方ぶりのことでした。

72歳になられるとのことでしたが、まだまだ若々しく、相変わらず温かい語り口でお話さ

れていました。

大林さんが長岡の花火大会を観られて、感動し、その花火大会の始まった経緯が戦後

の復興及び追悼の意味のあるものだということを知り、映画を撮りたいということになった

ようです。

長岡の市民団体の強い要望もあったようですが。

過去の戦争は忘れてはならない。

子供達にもそのことは語り継いでもらい、平和の大切さを知ることによって、将来の世界の

平和を目指すのだということです。

今年、生誕100年を迎えた故 黒澤 明監督とも親交があり、『夢』を撮られた時のエピソ

ードをお話されました。

『夢』はオムニバス形式の映画でしたが、脚本はあったが映画にならなかったものが3本あ

ったのだそうです。

その中の1本に、世界中で戦っている兵士達が、突然武器を投げ捨て、空いた両手のの

やり場に困って、目の前の敵味方構わずに、抱き合った。

そうすることが心地良く世界から戦争が一掃されたというお話です。

日本では、そんなバカな話を撮らせるのはやめさせろといったお話も出てきたそうですが、

ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグがお金を集めて、『夢』を取らせてくれたの

は有名な話ですが、80歳を過ぎていた黒沢監督に、世界を飛び回って撮影するのは難し

いだろうから世界の風景は我々が撮影するから、日本で俳優を撮影し、それを合成しては

どうかという提案に対し、黒澤監督は「私は映像を撮っているのではなく、映画を撮りたい

のだ。」と断ったとのことです。なんと、誇り高き言葉でしょう。

また、日本で『夢』をバカにされながらも撮り続ける意味を大林さんには、「こんなばかな話

があるかという映画を観て、1人の人がそうなったらいいなあと思ってくれるかもしれない。

世界中の人が観たら、何十万人の人がそう思ってくれるかもしれない。それが広がって、

世界の平和につながるかも知れない。

嘘から出た真だ。

私はもうじき死ななければならないが、その後を大林君が引き継いでいきなさい。

君が死んだら、次の世代に引き継いで、将来的には世界中を平和するだけの力のあるの

が映画という文化なのだ。」ということを話されたそうです。

なんと、大きく素晴らしい志なのでしょうか。

こういう方達の千分の一でも万分の一でも志を持って生きていけたらいいなあと思いなが

ら家路についたのです。

新作の撮影開始、完成が待ち遠しいです。